イタリア地震で犠牲となった飼い主の棺から離れない犬
犬を飼っていると。よく犬の忠誠心に驚かされることがあります。しかし、病気や死などの極端なケースにおいては、この忠誠心が私たちの想像をはるかに超えるものであることが分かります。この物語は、2016年にイタリアで起きた地震の犠牲となった男性に飼われていた、とあるコッカー・スパニエルのお話です。残された映像の中には、ワンちゃんが飼い主の棺から頑なに離れようとしない姿が収められています。
犬と飼い主
アンドリュー・コッスさんは、ペスカラ・デル・トロントというイタリア半島の中部にある街に住んでいました。享年45才、彼は2016年の8月24日にイタリアで起きた地震による300人の犠牲者の中の1人でした。
コッスさんの家族曰く、彼と彼の愛犬は「切っても切れない絆」で結ばれていたと言います。このことから、彼の家族もそのコッカー・スパニエルを葬儀に連れて行きました。
愛犬は、飼い主の死にとてもうろたえているようでした。ご家族と一緒に棺桶に近づくと、彼は棺を嗅ぎはじめ、尻尾を振り始めたのです。コッスさんがそこに眠っていることを知ったのでしょう。彼は棺の隣に横になり、頑なにその場から動こうとしませんでした。
体育館が大きな葬儀会場へ
地震の被害者の集団葬儀は、モンティッチェリにある州立の体育館で行われました。中には警察や政府関係者も訪れて、マグニチュード6.2の地震の中で殉職した35名を含む被害者の方に最後のお別れを告げました。
この葬儀はイタリア国内でも大きく取り上げられ、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領やマッテオ・レンツィ総理大臣もこの葬儀に一役買っていたと言われています。
しかし、そんな注目の葬儀の中でも一際話題になったのは、飼い主の元から離れるのを拒む一匹の犬でした。コッスさんは体育館に並べられた数多くの棺の中の一つに眠っていました。
ハチ公、カネロ、そのほかの忠犬
このように、犬が見せる究極の忠誠心に関するお話はたくさんありますが、最もよく知られているのは「忠犬ハチ公」かもしれません。彼のお話は文化の壁を超えて、ハリウッド映画にもなったほどです。
一方、スペインにおける最も有名なお話はカネロでしょう。カネロはカディスに住むホームレスの男性に飼われていた犬で、ある日病気になり病院に行ったっきりの飼い主を、12年間も病院の外で待ち続けたのです。
他にも時や場所を超えて色々なお話が存在しています。例えば、
- フィドは、ハチ公と同じようにトスカーナにあるとある駅に通いつめていました。彼は、第二次世界大戦で戦死した若き飼い主の帰還を、ずっと待っていたのです。
- またコリーは飼い主の墓の隣で9年の時を過ごしました。アルゼンチンのロザリオ市にある「慈悲の墓地」で、コリーは火葬された飼い主の隣にずっとい続けたのです。
- ボビーも、スコットランドの警察官だった飼い主の墓を14間も守り続けていました。そして最後には、そのお墓の上で最後の息を引き取りました。
犬の忠誠心は科学で説明できるのか?
現在の科学では、犬の忠誠心に関して科学的な説明はなされていません。なぜ犬が何年も飼い主の帰還を待てるのか?なぜ犬は飼い主の墓の側に居続けるのか?これらは未だ解明されていない謎です。
しかし、これらの行動の裏に愛情が隠れていることは疑いようもなく、そして愛という概念を科学実験を通して実証することは容易ではありません。
動物王国は、コッスさんの愛犬と家族に心からの哀悼の意を表します。
画像出典:www.lastampa.it, www.unilad.co.uk
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。