インドとマカクザルの関係:マカクによる危機的状況
地球上では、人間と野生動物が対立する場所ががたくさんあります。
人間が動物の生息地へと侵入することが原因で、多くの問題が生じますが、現在インドで起こっている、人間とマカクの危機的な状況は他に類を見ないほどです。
インドのマカクによる危機
インドのバドナワール市では、マカクザルに関する苦情が多く寄せられています。
地元のニュースは、マカクは「街を恐怖に陥れている」と報道しましたが、実際には60歳の男性が一人死亡し、その他の数人が攻撃を受けました。
インドの人口密度の高い地域では、この種の霊長類に関わる多くの問題が起こっています。
通行人にインドのお金あるルピーを投げたり食べ物を盗むだけでなく、光ファイバーケーブルのインフラストラクチャを破壊するなど、考えられる悪事のすべてを行なっていると報告されています。
前述した死亡した60歳の男性以外にも、生まれて12日の赤ちゃんやマカクに石を投げられた老人が死亡しました。
マカク対策
ヒマーチャルプラデーシュ州のをはじめとするインドの州では、マカクによる事件が多発しているため、抜本的な対策を講じています。
ヒマーチャルプラデーシュ州では、2017年から2018年の間にマカクによる攻撃が86回ありました。
これは10年以上も前から、州がマカク撲滅キャンペーンを開始したという事実にもかかわらずです。
マカクを捕獲して去勢することでインド全体のマカクの数を3分の1まで減らし、2004年の320万匹から現在では210万匹まで減少しました。
しかし、マカクによる攻撃は止まらないようで、それぞれの州の対策が失敗したため、インド政府は免疫避妊といった他の対策を模索しています。
これは、アカゲザルにのみ作用する経口ワクチンを開発し、ワクチンを複数回注射する必要があるため、現段階では実用的な方法とは考えられていません。
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マカクによるインドの危機と農業
インド政府が直面している問題の一つが、マカクの捕獲方法です。
自然界にマカクなどの特定の動物が異常に増えると、社会構造に影響を与える可能性が高まります。
その結果、猿の群れに入らない孤独なマカクが増えて、人間の作物を盗もうとするマカクが増えるリスクが高まります。
農村部にマカクが出没すると、人間への危険度だけでなく、作物への被害が懸念されます。
以前は、作物の被害は10%程度でしたが、過去5年で、作物全体の最大半分を失った農家もいるほどの被害が報告されています。
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インドでは、これほどまでにマカクの被害を受けているのも関わらず、マカクを神聖化する地域もあるため、人間による迫害や攻撃をあまり受けていないマカクが多く存在します。
実際、マカクを殺すという案がでたときには、多くの国民からの圧力を受けました。
インドで起こっている人間とマカクの衝突は、スペインのバルセロナで起こったイノシシとの衝突を連想させます。
野生動物と人間の間に起こる衝突を回避するためには、すべての人の意見を聞いて対処するべきであると同時に、人間の日常生活に影響を与えることなく、野生動物が本来生活していた場所で安全に過ごすことが大切です。
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