【これだけは知っておきたい!】犬の「血管炎」について
医療の世界では診断に役立つ特定の徴候があります。犬の血管炎の場合、他の病気の存在に関する貴重な情報源になることもあるのです。
他の病気の徴候がある場合、医学的には「二次的」と表現し、犬の血管炎は通常、二次的な病気で扱われます。そのため血管炎が発覚したらその病状の性質や原因をさらに掘り下げていく必要があるのです。
血管炎とは?
血管炎とは、内膜と呼ばれる血管の内側の層の損傷によって引き起こされる血管の炎症を指します。先ほどお話したように血管炎は別の炎症や感染症など他疾患を伴う二次性のものです。
血管が傷つくと血管組織の炎症が起こり、酵素が血管の壁に大きなダメージを与えます。そして、それによりその箇所が出血したり壊死したりするのです。
- 皮膚に血管炎ができることもあり、この場合は皮膚性血管炎と呼ばれます。
- 一方で、身体中に血液を供給する血管に起こる全身性のものもあります。
皮膚性血管炎の症状は患部に潰瘍や壊死、水疱などが見られるのが一般で、耳の縁や足の裏などの粘膜は血管炎がよく起こる場所です。
他の症状としては、抑うつ、発熱、浮腫、関節痛などがあります。これらの症状は主な原因によって異なり、全身性血管炎の場合に多く見られます。
合わせて読みたい『愛犬のために知っておきたい!エールリヒア症とは?』
血管炎の原因とは?
すでにお話した通り、血管炎を引き起こす疾患は多く存在しますが、その中でも特に多いものが次の通りです。
- 感染性:原因は犬糸状虫(フィラリア症)などがあり、犬コロナウイルスのようなウイルスや特定の細菌が原因となることも
- 免疫介在性:薬剤やワクチンに対する副作用、食物過敏症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、など血管炎につながる免疫系疾患の可能性も
血管炎の治療
血管炎で重要なのは根本的な原因である原疾患を治すことで、原疾患を治療して初めて血管炎の予後についての見通しが立てられるのです。しかし、血管炎には多くの要因が関与しているため、早期に原疾患を発見するのは容易ではありません。
病気の原因を突き止めながら予防的に抗生物質が出されることが多いでしょう。他の専門家は、抗炎症剤や免疫抑制剤としてコルチコステロイドの使用を推奨していますが、これらの効果は現段階ではエビデンスで認められているわけではありません。
狂犬病ワクチンによる血管炎
血管炎の原因の一つに、実は狂犬病ワクチンが挙げられます。一部の専門家によると、血管炎の最も多い原因は狂犬病ワクチンだと言います。研究によると、ミニチュア・プードル、ヨークシャーテリア、ペキニーズ、ビションマルチーズなどの犬種は血管炎になりやすいことが明らかになっています。
狂犬病のワクチン接種後に限局性脱毛症という形で症状が現れることがあります。
つまり、ワクチン接種を行った部位の毛が抜けるかもしれないということです。接種後1~5ヶ月目で現れることがあり、これに加えて耳の先や唇など、体のさまざまな部位にかさぶたや潰瘍が見られることがあります。
関連記事『シニア犬に多い3つの病気や症状について見てみよう』
ネットで見つけた記事だけで診断を下したり、治療を開始したりするのは避けましょう。このような情報は、愛犬に見られるかもしれない注意点を述べているだけにすぎません。
また、愛犬が怪我をしてしまった場合には、信頼のできる獣医に診てもらいましょう。獣医の処方箋なしに自分の判断で薬をあげることはやめましょう。
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。