猫の街イスタンブール

猫の街イスタンブール

最後の更新: 25 7月, 2018

イスタンブールは実に奇妙な街です。訪れた人々曰く、そこはノミの市がどこまでも続いていて、道は何でも売っている移動式屋台で埋め尽くされていると言います。しかし、イスタンブールが奇妙な点はそれだけではありません。実はもっと奇妙なことがまだあるのです。そう、そこは猫の街なのです。

街には野良猫が溢れかえっています。でも野良猫と言っても、単に道端で生活しているからそう呼ばれるだけであって、実際のところ、彼らはまるでマハラジャのように生きています。今日は、奇妙な猫の街イスタンブールについて紹介しましょう。

なぜイスタンブールは猫の街になったのか?

ベンチで黄昏る猫

イスタンブールの住民は動物が大好きです。猫には餌をあげて、お世話までします。そして、そこに住む猫と人の間には切っても切れない絆がある、と人々は言います。

しかし、これはイスタンブールに住む猫の数は日に日に増えていくという事を意味しているはずです。なぜなら猫達は餌をもらう為、あちらこちらからこの街に移住してくるはずの動物だからです。加えて、イスタンブール市内で生まれる子猫も考慮しなければなりません。

猫は最早この街の魅力の一つとなっており、そこでは歩き回ったり街中でゴロゴロしている猫を見ることができます。しかしここに住む人々にとっては、数百匹の猫が街を徘徊しているなんて普通のことで、別に驚きもしないそうです。

しかし旅行者は違います。まず気づかずにはいられないのは、その猫の数です。実はイスタンブールにはおよそ15万匹ぐらいの猫が生息しているのではないか、とさえ推測されています。

そんな多くの猫は一体どこから来たのか?

どうやらイスタンブールはかつて港町として栄えており、大商会の商人達が船で行ったり来たりしていたようです。当時、商人達は船内のネズミを駆除する為に猫をお供に旅をしており、その結果として数百匹の猫達がこの街に住み着いたと言われています。

しかもイスタンブールの人々は古くから動物を大切する文化を持っており、今でもオットマン帝国時代から残る猫専用のドアや鳥用のマドが付いた建物を見ることができます。また、トルコの主要宗教であるイスラム教の宣教師「ムハンマド」が大の猫好きだった事もあり、人々が彼への敬意を抱いていた事もまた要因となっています。

猫の街では、迷い猫は大事はゲスト

海岸に座る猫達

イスタンブールでは、政府が彼らの為にシェルターを建て、道には猫用の餌やり機を取り付けることが方針として決まっています。さらに政府は、専用のインスタグラムアカウントをオープンし、今や面白い写真や活動報告が見れるようになっています。

しかし、責任を持って猫をお世話しているのは政府だけではありません。イスタンブールではたくさんの人が、猫達に食べ物や水をあげている姿を垣間見ることができます。

猫ちゃんは街の店先はもちろん、カフェのお客さんの足元で喉を鳴らしていたり、レストランのテラスで働いているウェイターさんの後を追っていたりと、そこら中に居ます。彼らは街の景観の一部であり人々の心を掌握仕切っているので、どこに居ててもOKなのです。

写真家たちも、猫のいい写真を取ろうとして反対に猫に驚かされることがたくさんあったようです。とある写真は、猫は人間の入れないところにもすんなり入って行く様子を捉えています。例えばある日写真家さんが猫を追っていると、突然小さな穴の中から猫が建物の中に入っていき、追いかけることができなくなったそうです。

それでもなんとかその猫の写真を取ろうと建物の中に入ると、彼は今まで見た事もない光景を目にしました。どうやら、その猫達は街中で誰も知らない秘密の場所に住んでいたようなのです。

街が一体になって野良猫をお世話し、しかもそれが功を成して、今や街や国の魅力の一つとなっているなんて本当に素晴らしいですよね。ブラボー、イスタンブール!


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