違法とされている犬のしつけ用首輪とは?
犬の行動を抑制する方法はすべてが良い方法とは限りません。実際に、ヨーロッパの国々では法律によって特定の種類の犬の首輪が禁止されています。今回は犬の首輪で違法とされている物とその害についてお話していきます。
違法な犬の首輪
「愛犬のために」と誰もが思うものです。しかし、悪いアドバイス、特定の犬種への偏見、時代遅れの習慣に惑わされてしまうことはしばしばあります。気が付かないうちに、違法とされている首輪を使ってしまっているかもしれません。首輪の製造業者はこのような首輪を使用しても犬に害はなく、問題行動を解決するのに有効だと主張します。
しかし、獣医師はこれに対して決して首を縦には振っていません。長年にわたる数多くの研究により、このような首輪をしている犬には、していない犬に比べて健康上および行動上により多くの問題が引き起こされることが分かったのです。
違法な首輪の中でも、次のように際立ったものがあります。電気ショック首輪、スパイクカラー、チョークカラーなどです。これらの首輪は全て、犬の首の周りに付けて使用されます。望ましくない行動が見られると直ぐに犬に強いシグナルを与えるように設計されています。詳しく見ていきましょう。
- 電気ショック首輪:この首輪には犬にショックを与える電気装置が付いています。リモコン操作で、あるいは犬が吠えたことで喉頭に生じる振動を察知すると、首輪から自動的に電気が流れる仕組みです。
電流は脊髄を通り犬の全身に流れ、即座に体全体に痙攣を引き起こします。この痛みに加え、電流により首を火傷したり、ストレスホルモンが分泌されたりと、犬にとっては非常にネガティブなこととの関連付けになってしまうのです。
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- スパイクカラー:この首輪は、犬がリードを引っ張ると金属のスパイク(とげ)が犬の首に刺さります。このスパイクは犬の気管と首の前面部を圧迫します。甲状腺のようなホルモンの分泌腺に常に力が加わるため、重大な問題を引き起こす可能性があります。
また、このような首輪を使用することで犬は非常に多くのネガティブな関連付けをしてしまいます。道路やリードに対して、または他の犬との挨拶の際に否定的な反応が出てしまうかもしれません。このような首輪の継続した使用によって問題行動が悪化するという研究結果もあります。
- チョークカラー:この首輪は、紐の先端にリングが付いているシンプルなものです。正しく犬に装着してあると、犬が引っ張ることで首が絞まる仕組みです。前述した問題点に加え、チョークカラーは気管を傷めたり犬を窒息させてしまったりすることもあります。リードを引っ張れば引っ張るほど首輪は絞まります。
このような犬のしつけ用首輪が禁止されている国や場所
ここまで見てきた理由から、このような首輪はいくつかの国で禁止されています。しかし、まだ使用を規制していない国も、このような動物虐待行為を防ぐために法律を改正しているのです。
ノルウェー、デンマーク、スウェーデンなどの北欧諸国では既にこれらの法律が数年間施行されています。その法律はシンプルで明確です。それは、犬に害を与える首輪は誰も使用することが許されない、というものです。また、ドッグトレーナーが違法とみなされる首輪を使用しているセミナーに参加した際は、トレーナーの資格を失うことになります。
イギリスでも電気ショック首輪を禁止しています。犬愛好家は、スパイクカラーやチョークカラーも禁止にしようと奮闘していて、違法な首輪に関するより厳しい法律に向けて、さまざまな地域が取り組んでいます。
さらに、オーストラリアのいくつかの地域でも電気ショック首輪が禁止されています。国全体の法律ではありませんが、オーストラリアの殆どの大都市では使用が禁止されています。
現在のスペインでは、複数の地域で法律が変更されています。カタロニアでは、上記の首輪は既に数年間前から違法とされています。最近では、マドリードもこのような首輪を禁止しています。バレンシアでは、新しい動物保護法案が可決されるように取り組んでいる途中で、2018年までには違法になると予測されています。
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違法しつけ用首輪の代わりに
犬の専門家、獣医師、犬のトレーナーなどは皆、これらの違法なしつけ用首輪は使用してはいけないと口を揃えて言います。犬がリードを引っ張るのを防ぎ、問題行動を直す他の方法があるからです。
犬のしつけで最も効果的な方法は、正の強化に基づいたものです。リードを引っ張らずに歩くように教えるにはハーネスが非常に有効です。しつけを自分で行うのが難しい場合は、あなたの愛犬をしっかりと理解し、問題行動を解決するために協力してくれるポジティブなドッグトレーナーに相談してみてください。
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