生きる化石「ミツクリザメ」の生態を見てみよう!
ミツクリザメはとても不思議な生き物です。大きなVの字型の頭を持っており、まるで絶滅した太古の生き物のような見た目をしています。今日はこの不思議な生物について、ご紹介したいと思います。
この魚はネズミザメ目に属し、ミツクリザメ科にはミツクリザメ属だけしかいません。原始的な見た目をしていることから、生きる化石とも呼ばれています。
生息地
実は、ミツクリザメの生息地についてはほとんど知られていません。どのような場所に生息するのかがはっきりとわかっていないためです。しかし、その自然生息地は日本の海であるということはわかっています。また、オーストラリア、インド、フランス、南アフリカ、アメリカなどでも目撃されています。
このサメは水深1.3キロほどの位置を泳ぐ中深海種ではありますが、多くの場合水深約200~300メートルの位置で見つかっています。ミツクリザメは特定の地域にとどまらないことが多いので、予測することが難しいのです。
このことが、ミツクリザメの生息地や特徴についてさらに情報を集めた総合的な研究がない理由になっています。
特徴
ミツクリザメの主な特徴をご紹介します。
- このサメは一目でわかる特徴的な口先をしていて、頭の上の部分がV字をした平たい形をしています。
- このサメのアゴもとても特徴的で、中にひっこめることができます。すると口先が多くな鼻のような形になります。
- ミツクリザメには大きくて鋭い歯が上に26本、下に24本生えています。上下のアゴに3列ずつ歯が生えています。
- ヒレはピンクっぽい白と青色をしています。尾びれの下の部分はかなり短く、全体的にぐにゃぐにゃしています。
- 形とサイズの同じ背びれが2つあり、胸びれは短く丸い形をしており、それよりも大きなしりびれを持っています。
- 体長に関しては、メスの方がオスよりも大きな体をしています。オスは3~4メートルになるのに対し、メスは6メートルほどまで成長します。
- 大人のミツクリザメの平均的な体重は約200キロです。
- 深い海の中を泳ぐため、とても小さい目をしています。彼らの皮膚は皮歯と呼ばれる構造によって守られています。
- 繁殖に関しては、卵胎生であると考えられ、オスの体長が2.5メートルほどに達すると性的に成熟します。
- 寿命についてはわかっていません。
食性
ミツクリザメには口先にロレンチーニ器官と呼ばれる特殊な感覚器官を持っています。これを使って、彼らは電気的に獲物を感知することができるのです。そのアゴを素早く飛び出させることができるようになっていて、それを利用して獲物を捕らえます。
あご関節にある強靭なじん帯が、泳いでいる間体を支えてくれます。獲物を見つけると、パチンコのようにアゴを飛び出させます。
うすく細い歯はまるで穴あけパンチのような形をしており、臼歯はものをすりつぶすための形をしています。このことから、主に小さな魚やタコ、イカ、エビなどの柔らかい獲物を食べているのではないかと考えられています。
ミツクリザメが見られる場所
ミツクリザメは深海魚で、大西洋、ガイアナ共和国の海岸沖、スリナム共和国、フランス領ギアナ、フランス、マデイラ諸島、セネガル、ポルトガル、ギニア湾、南アフリカでも暮らすことができます。
また西太平洋、日本、オーストラリア、ニュージーランドでも見られます。最近ではカリフォルニアの海岸沖のサンクラメンテ島やメキシコ湾の北側でも目撃情報が報告されています。
その他の特筆事項
生息場所が特定しにくく、とても深い海に暮らしているため、ミツクリザメを捕獲するのは非常に困難です。最も活発なのは午後や朝とても早い時間です。
不思議な見た目をしていますが、ミツクリザメは攻撃的な生き物ではありません。人間には一切危害を及ぼしません。実際、人がミツクリザメに襲われたという記録はありません。
最後に付け加えておきたいことは、未だにミツクリザメに対する保護策がとられていないということです。しかし彼らの特徴的なアゴが収集家などの関心を引いていることも事実です。
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。