チンパンジーの持つ文化は消えつつあることが判明
動物界では、霊長類は特に興味深いグループです。それは、異なる行動と独自の文化的特徴を持っているからです。チンパンジーといった種には明確な文化があります。しかし、研究によると、チンパンジーの文化は消えつつあるのです。
動物文化
絶滅の危機に瀕している動物種は多くありますが、その動物が消滅することには注目しても、その動物の文化を気にする人は少ないものです。動物にも文化的特性があることは否定できません。
例えば、サルは石器時代にさかのぼります。オウムは種類によって異なる言語(方言)を持ちます。そして、シャチの驚くべき狩猟技術。これらは全て動物文化が存在することを証明しています。
もちろん、ほとんどの動物文化は人間の文化とは大きく異なります。しかし、どちらの文化にも共通するのは、世代から世代へと伝えられる特定の集団の行動パターンがあることです。これは、人間として、そしてその他の動物界と共通する文化的行動の基礎となるものです。
一方で、これらの動物の文化も絶滅寸前であるという考えはほとんど話題に上がりません。しかし、Natureという雑誌に掲載された重要な研究により、この問題が注目され始めました。動物がもたらす生態学的なメリットに加え、他の種の文化遺産も危機にさらされているのです。
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最終的に、種の文化は天然資源を最大限に活用するのに役立ちますが、これらの資源は人間によって悪影響を受けています。
チンパンジーの文化は消えつつあると研究が警鐘
Max Planck Instituteの研究者が率いるチームは、15ヶ国、46ヶ所で実地検査を行いました。研究者たちは9年間の研究で、144にも及ぶチンパンジーグループの31の行動パターンを分析することに成功しました。
他の研究でもチンパンジーの文化に注目はしていましたが、人間の行動がチンパンジーの文化にもたらす影響までは分析していませんでした。
人間の存在による規模縮小の程度を測定するために研究者が使用したパラメーターには、その地域に住んでいる人々の人口数とインフラ、または森林でした。その結果、人間の影響が大きい地域ではチンパンジーの文化的行動の88%以上が失われていることが分かりました。
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そのため、人間社会から最も離れたチンパンジーの文化は影響をあまり受けていないのです。これはグアルゴ三角地帯の好奇心旺盛なチンパンジーにも該当します。一方で、人口の多い地域に暮らしているチンパンジーの文化はなくなりつつあるのです。
文化が消えるとどうなる?
もちろん種自体が消えれば文化も消えます。個体数が減ることはユニークな行動パターンを代々伝える機会も減ることを意味します。つまり、人間は直接的にも間接的にもチンパンジーの文化が消えつつある原因になっているのです。
その結果、研究者たちは動物を生き物として保護するだけでなく、動物の行動と文化も保護する必要性があると強調しています。実際、生物多様性の完全なる保護を求める自然保護協定がいくつかあります。これには動物の行動の保護も含まれています。
科学界は、チンパンジーの文化と他の種の文化を保護するための地域を増やすよう強く要求しているのです。
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Kalan A., Kühl H. et al, “Human impact erodes chimpanzee behavioral diversity”, Science, marzo de 2019, DOI: http://science.sciencemag.org/lookup/doi/10.1126/science.aau4532
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