コロナウイルス:ワンちゃんにキスしても大丈夫?
ワンちゃんのキスには私達を癒してくれる力があります。猫や犬などのペットが、ストレスや不安、うつを緩和してくれるということは科学的にも証明されているのです。一緒にいてくれることで、孤独を紛らわし、運動させてくれ、心血管の健康を改善してくれることもあります。
ところが最近、新型コロナウイルスの拡散にペットも関わっているのかという懸念が浮上しています。
2月11日に、このウイルスにはSARSコロナウイルス‐2という正式な名前が付きました。このウイルスによって引き起こされる病気は、「Coronavirus disease 2019(COVID-19)」と呼ばれます。
ワンちゃんとのキスで感染のリスクはある?
国際獣疫事務局(OIE)によると、新型コロナウイルスの拡大は人から人への感染によるもので、今のところペットがこの病気をうつすという確固たる証拠はないということを強調しています。
ですので、私たちのペットの幸福を損なわせるような手段をとる必要は全くありません。最近わかったことによると、新型コロナウイルスの源は野生動物にあるようですが、これに関してはまだ調査中の点もあります。
陽性が出た犬はいる?
3月1日に、香港のポメラニアンが新型コロナウイルスなどの検査で陽性が出たと報じられました。この犬は飼い主がコロナウイルスで体調を崩してから感染が確認されました。
この犬の鼻、口、直腸からサンプルが採取され、フンも研究室の中で分析されました。その結果、口と鼻からのサンプルからのみコロナウイルスの陽性反応が出たのです。
しかし、だからといってこの犬が感染していたとは限らないといいます。2日後に再び採取されたサンプルも陽性でしたが、犬にには何の症状もありませんでした。とはいえ、専門家によって隔離の指示が出されました。
また、このポメラニアンにはなんの病気のサインも見られなかったのです。血液検査も行われましたが、その結果は陰性でした。このことから、この段階では計測できるだけの抗体が血中にないということがわかります。
OIEは、「この人間の病気を犬が広めるという証拠も、犬が病気になる可能性があるという証拠も出ていない。」と言っています。
この香港の犬の陽性反応については、世界獣医協会(WSAVA)が「新型コロナウイルスのRNAウイルスが少量サンプル内に見つかった」と言っており、この粒子が感染したり拡散する力を持っているのかどうかについては不明だとしています。
今のところ、犬や猫などのペットが人間に新型コロナウイルスをうつしたという証拠は出ていません。感染は人から人にのみ起こっています。
世界保健機関によれば、犬や猫がこのウイルスで病気になったり、他の動物や人間に新型コロナウイルスをうつすというような証拠はないそうです。
自宅待機期間には犬との触れ合いを抑えるべき?
OIEの提案によれば、自分がウイルスを持っている場合や新型コロナウイルスに感染しやすいコンディションの場合。ペットとの接触は避けるべきだそうです。中国当局は、ペットにキスをしないよう感染者に警告しています。この場合には、ペットのお世話を他の家庭などに頼むよう言っているのです。
感染者が自分でペットのお世話をするほかないという場合は、衛生管理をしっかりとし、できるならマスクを着用しましょう。OIEのサイトに行くと、ペットの健康に関するさらなる情報を得ることができます。
勧められている予防策は?
新型コロナウイルスに感染した人は、医療機関にペットなどの動物がいるということも報告しておくべきです。
一般的に勧められていることを以下に挙げました。
- できる限りペットのお世話を家の中でするように、家族に頼みましょう。
- 散歩は短時間、生理学上必要なだけにとどめましょう。
- 散歩の初めから終わりまでリードにつなぎましょう。
- 他の犬や人との接触を避けましょう。
- おしっこをきれいにするのに洗剤入りの水筒を使用し、うんちは袋に入れましょう。
- 当たり前ですが、動物に触れた後は手を洗いましょう。コロナウイルスに関係なく、唾液から細菌が広まる可能性があるからです。
最後に
OIEによると、ペットが犠牲者になったりコロナウイルスの保菌者になる可能性について、怖がる必要はないそうです。ペットも感染するということを示す証拠は十分にありません。ですので、あなたがウイルスに感染していない限り、ワンちゃんとキスをしても安全だと言えるでしょう。
新型コロナウイルスは人間に感染しやすいようになっているので、犬や猫にうつるということは考えにくいでしょう。ですので、ペットと一緒に過ごすことを恐れる必要はありません。
普通の風邪も含めて、多くのウイルスがペットと人の間でうつるということはありません。ペットには人とは異なる受容体があり、それが人間の間でうつるウイルスがペットの体の中のシステムに入って来たり、感染を引き起こすことを防いでくれているのです。
一般的に、例えばイヌコロナウイルスのようにウイルスは一つの種に特化してうつるようになっています。この記事がみなさんの身を守る上で役に立てば幸いです。
引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。
- Smith, B. (2012). The’pet effect’: Health related aspects of companion animal ownership. Australian family physician, 41(6), 439.
- Grimm, D. Quarantine the cat? Disinfect the dog? The latest advice about the coronavirus and your pets. Marzo 12, 2020. Science Magazine. https://www.sciencemag.org/news/2020/03/quarantine-cat-disinfect-dog-latest-advice-about-coronavirus-and-your-pets
- Davidson, H. Hong Kong warns residents not to kiss pets after dog contracts coronavirus. Marzo 5, 2020. The Guardian. https://www.theguardian.com/world/2020/mar/05/hong-kong-warns-residents-not-to-kiss-pets-after-dog-contracts-coronavirus
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