ネコの鋤鼻(じょび)器官について:ニオイの感覚器官

この器官のおかげで、ネコはにおいを感じた粒子の「味を感じる」ことができるのです。
ネコの鋤鼻(じょび)器官について:ニオイの感覚器官

最後の更新: 08 10月, 2019

ネコは人間よりもずっと優れた嗅覚を持っています。この感覚はネコがコミュニケーションをとったり自分の周りの環境と関わり合いを持つ上で欠かせない役割を担っています。しかし、周囲のことを知るのにネコが使うのは鼻だけではありません。今日の動物王国では、ネコの鋤鼻器官についてお話しします。

脊椎動物の感覚器官

鋤鼻器官は、それを発見した科学者を称えてヤコブソン器官とも呼ばれています。この感覚的「ツール」は口蓋と鼻腔の間にある鋤骨にあります。これは二つの「ふくろ」に分かれていて、その中を空気が通り抜けられるようになっています。

これは多くの脊椎動物が持っている二次嗅覚器で、特定の化合物をかぎ分けるのに役立ちます。この器官を持っていることは、狩りや繁殖において重要な役割を果たします。

人間もまたこの器官を持っていますが、私たちがそれを使用しているのかどうかはよくわかっていません。一方ネコはこの器官を使い、空気の中から(口ではなく)鼻で感じ取った粒子を「味わう」ことができるのです。

ネコ 鋤鼻器官

ネコの鋤鼻器官は二つの切歯の間にあります。これによりネコは「においの味を感じる」ことができるのです。この感覚器官は、人間が決して知覚することのできないにおいをネコが感じることを可能にしています。

ネコの素晴らしい嗅覚

ネコには人間が感じることのできないにおいをかぐことのできる嗅覚系が備わっています。例えば、同種の動物間で情報を交換するのに使われる化学物質である、フェロモンを感知することができます。

ネコはこれらを嗅粘膜と鋤鼻器官を通して感知します。ネコがこの素晴らしいツールを使って読み取ることができるのはフェロモンだけではないんです。

食べ物や性行為に関する新しく強いにおい(漂白剤など)も分析することができます。おしっこのにおいをかぐだけで、メスが発情期かどうかもわかってしまうのです。

ネコの鋤鼻器官のしくみ

注意深く観察していると、ネコがときどき変な顔をしていることに気が付くと思います。口を開けて口の上の方で空気を吸い込み、唇まで使います。鼻にしわを寄せ、同時に頭を上げます。

ネコ 鋤鼻器官

この一連の動作はフレーメン反応と呼ばれています。これは普通の気道を閉じることで空気が鋤鼻器官を通るようにするという生理的な反応なのです。

ネコが空気の中に特定の分子を感知すると、それを下にある受容器で捕まえます。そして舌を口蓋に押し当てることでにおいが鋤鼻器官を通過するのです。その粒子をより感じるために舌をぐるっとまわすこともあるかもしれません。

ネコの鋤鼻器官についての補足

鼻と鋤鼻器官で感知されたにおいが通る神経の通り道は異なります。鼻の場合は、その感覚情報が脳の認知分野に運ばれます。鋤鼻器官ではにおいは視床下部と偏桃体を通ります。

より具体的に言うと、においが性交や社会的関わり、食べ物、自己防衛などににつながる感情的な反応に関する部分を通るのです。鋤鼻器官が感知したフェロモンもよりゆっくりした、長くづ着く生理学的変化に変わることもあります。

というわけで、あなたのネコちゃんがフレーメン反応をしているとき、今までわからなかったことの理由が少し理解できるようになったのではないでしょうか。その答えは鋤鼻器官にあったのです。


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