過保護に育てられてきたワンちゃんは攻撃的になる?
ペットの飼い主として、彼らをしっかりとお世話して幸せにしてあげるのは当然のことです。しかし、まるで人間の赤ちゃんのように動物たちを甘やかしてしまうと、逆にそれが彼らを攻撃的にしてしまいます。そうして過保護に育ってきた攻撃的な犬は、人間や他の動物にとって危険な存在となります。
過保護による攻撃性:人間扱いされた動物の危険性
まず、ペットを人間扱いするということは、彼らをありのままの動物として尊敬していないということを意味しています。もし、彼らに人間と同じように振る舞うように強制したり、そう教えているのなら、それは何らかの行動異常に繋がるかもしれません。
特に最近では犬を人間扱いする人は後を絶たず、人間用の食べ物を犬と一緒にシェアするというのはその最たる例です。
これも結局は動物を傷つけているだけの行為と言えます。この結果として、少なくともこれからは人間の食べ物をおねだりし始めるようになるでしょうし、最悪の場合消化器系の病気などの原因にもなり得るのです。
服やアクセサリー
ペットを人間扱いするもう一つの代表的な例は、彼らに靴を履かせることでしょう。確かに見た目は可愛いと思うかもしれませんが、これはワンちゃんの健康によくありません。デメリットはたくさんありますが、中でも地面とのコンタクトが無いため歩きにくくなり、結果として足が正常に発達しなくなるという弊害が挙げられます。
また、愛犬を人間扱いしていると行動や性格にも異常が見られるようになってきます。そして何より最悪なのは、今まで人間扱いしてきた飼い主さんまでもが、これに悩まされて後悔するということです。
つまり、過保護や行き過ぎた独占欲などは危険なのです。これらの問題は、ほとんど常にペットを人間扱いするという行動に繋がってしまいます。通常、こういうことをする飼い主さんはペットを飼う為の知識が足りない人たちですが、たまにペットと人間の境界線が無くなってしまった飼い主さんもいます。
なぜペットを過保護してしまう人がいるのか?
過保護はだいたい、動物に無垢な人間の赤ちゃんのイメージを投影してしまうところから始まります。すると次第に、この子は私が守ってあげなきゃ、脅威から出来るだけ遠ざけてあげないといけないんだ、と考えるようになってきます。
もちろんペットに愛情を注ぐはとても大切なことです。しかし、どこか人間扱いし始めてるな、と感じたら少し過保護になり過ぎている証拠かもしれません。しかも、過保護はペットの成長を阻害どころか、捻じ曲げてしまうので逆効果です。動物が自然的に受け継いできた本能を無視するということは、彼らを本来よりも弱い存在にしてしまうことと同義なのです。
どうして動物を動物らしく、人間を人間らしく扱うのは難しいのか?
心理学者さん曰く、家族という概念が変わり始めてから、動物を動物らしく扱うことが一段と難しくなってきているのだと言います。つまり、より個人主義な人たちが増えてきたこともそうですし、ペットを家族の一部として考える人が増えてきたこともその一因です。
誰でも時には、コミュニケーションをとって気持ちを打ち明ける必要があるはずですが、それが個人主義の現代に生きる人にとっては一際難しく、結果として愛犬を心の拠り所としてしまうのかもしれません。中には、人間不信になり愛犬しか信じられる存在がいないなんて人もいるでしょう。
しかし多くの心理分析の研究結果によって、他人の価値を下げて生きる人は、結局自尊心や自分の社会におけるスキルを傷つけることになることが分かっています。
過保護の犬が攻撃的にならないようにするには?
愛犬の攻撃性を抑えるためには、まず飼い主さんが第一歩を踏み出さなくてはなりません。もし最近愛犬が攻撃的で、よく考えてみると今まで少し過保護ぎみだったかな?と思い当たる節がある場合、自分がなぜ過保護になってしまったのか、その原因を探ってみましょう。また人間扱いするのをやめようと決意するよりむしろ、明確なルールと限度を作って、ペットにとって適切なことと不適切なことの境界線を認識できるようになるのが先決です。
小さいことから始める
最後には、きっとペットたちも「人間の空間」を理解し、尊敬してくれると思います。千里の道も一歩から、です。例えば、愛犬にベッドに飛び乗らないでと言うことから始めても良いですし、食事中にテーブルの上のご飯をねだらないようにしつけることから始めても良いでしょう。
動物と人間は違う
動物には動物のニーズ、感情、世界があります。身体も違いますし、自己主張の仕方も言語も違います。これを分かっているのなら、誰でも動物に敬意を持って接し、正しいしつけを行うことができると思います。
次に大事なのは、犬は家族の一員ですが、リーダーではないという点です。もしワンちゃんが「自分はこの家族のリーダーだ」と認識してしまうと、これが攻撃的な行動に繋がってしまいます。リーダーは常に群れ(家族)を守るという意識が強いので、見知らぬ人や他の動物に対して独占欲を抱き、攻撃的になってしまうのです。
NOの言い方を学ぶ
家の中のルールを決めると同時に、NOと言う方法を学ばなければなりません。これは得手不得手が分かれるところだとは思いますが、愛犬が悪い行いをした時に”はっきりと”拒絶する態度が取れないとトレーニングになりませんし、トレーニングができないということは家族に平穏がもたらされることもないということです。
ですので専門家は、まず基本的な命令を教えて、従順さを身に付けるトレーニングをするのをオススメしています。またこれに加えて、生後20週間以内に、他の動物たちと交流を持たせるのも大切だそうです。
これらのトレーニングを効果的に行うには、「褒めて伸ばす」が必要不可欠です。これは愛犬が良い行いをした時に、うんと褒めてあげるという教育方針であり、暴力によって罰を与えて強制するやり方の真逆を行くものです。
さて、過保護によって攻撃性が高まるのは、どんな犬種・年齢の犬にも共通して言えることです。ですので、生まれたすぐから愛犬の教育方針をしっかり固めて、くれぐれも過保護にならないように明確なルールも設定しておきましょう。
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。