オランダ:動物の放棄を無くした世界で最初の国

2018年12月17日
路頭に迷う動物達を無くすには、長い年月をかけた努力が必要になります。しかし、この世には新たな試みでそれを実現した国もあります。

みなさんは、捨てられた動物が居ない世界を想像できるでしょうか?ユートピアのようにも思えますが、実現不可能という訳ではありません。ただ、とても長い道のりになるでしょう。考えてもみてください、人間界でさえも家が無く、厳しい生活を強いられている人々が何人もいるのです。

そんな状況で、寒空の下凍える野良犬たちに救いの手が差し伸べられると思いますか?でも例外もあります。そして今日は、その例外の一つとして「オランダ」という国をご紹介したいと思います。

 

野良犬の犠牲無くして成し遂げたゴール

荷台に乗る犬

まず、どのようにしてオランダは路上を彷徨う動物達を無くしたのでしょうか?まず最初に言っておきたいのは、オランダは放棄動物達を安楽死させたりケンネル送りにしてこれを達成した訳ではない、ということです。

また、オランダは1,700万人という人口を持つ比較的小さな国で、経済も良好で生活指数も高く、個人の自由や環境を重んじる政策を推進してきた国だということも忘れてはなりません。

つまり、ある程度人間の基本的なニーズが満たされているからこそ「動物の幸せ」といった問題にまで着手できた、と考えることもできるかもしれません。でもこれからお話しするように、どうやらこの理屈が全てに当てはまる訳でもないようです。

それでは、どのようにしてオランダが「放棄動物」の居ない最初の国になれたのか、お話ししましょう。

オランダが「放棄動物」を無くす為に行なった施作

他の社会問題でもそうですが、オランダでは動物愛護に関しての運動も盛んです。そしてこの「運動」というのは、政府当局と市民の協力によって成り立ってきました。例えば、

  • 厳しい法律。動物の虐待や放棄を行なった人は、16,000ユーロ以上の罰金と3年以下の禁固刑に処せられます。
  • また、意識向上運動や整った教育環境によって、より多くの人に動物虐待が他人事ではない深刻な問題と捉えてもらえるような努力がなされてきました。
  • さらに政府は去勢手術を無料で提供しています。
  • 加えてブリーディングによって誕生した動物の購入には高額な税金を課し、捨てられた動物達の引き取りを推進してきました。

これらからも分かる通り、オランダの政策はかなり特別です。いかに動物の虐待や放棄が問題となっている国が多いといえども、簡単に真似できるものではありません。国民の生活レベルが高くないと、このような施策を実行するのは難しいでしょう。

ここで歴史をちょこっと:オランダ人と犬

今日のオランダには放棄動物はいないかもしれませんが、歴史的にずっとそうだったという訳ではありません。オランダのイヌ科保護機関であるホンデンベシェルミン (Hondenbescherming)という団体は、他の機関と協力して、オランダという国がどのような経緯で今の状態に至ったのかを調査しました。

それによると、19世紀初頭では犬はオランダのほとんどの家庭で飼われており、上流階級では自分の地位の象徴として血統書付きの犬やスポーツ用として犬を、そして下流階級では番犬や仕事用に雑種犬を飼っていたそうです。

そしてもちろん、道は捨てられた犬達で溢れかえっていました。飼い主にとって、使い道がなくなったのでしょう。しかし、捨て犬の数が増えていくにつれて狂犬病が大きな問題になり始めました。人々は多くの野良犬を安楽死に追いやりリードや口輪に関する規制が導入されたのもこの頃です。

オランダと捨て犬の長い道のり

撫でられる犬 オランダ

狂犬病の蔓延が落ち着いたあとでも、放棄動物の安楽死はまだ広く行われていました。しかもそんな中、とある政策が施行されたのです。これは犬の飼い主に税金を課すというものでした。当然これにより、税金を逃れようとする飼い主によって多くの犬が捨てられる結果となりました。

1864年、オランダで初の動物愛護団体が発足。1877年、オランダ初の動物シェルターがオープン。そしてその間の1866年には、初めて「動物虐待に対する処罰」が実施されました。とは言っても、これは犬が荷台を引いていた時代です。ですので犬の労使を完全に撲滅できたのは1962年になってのことでした。

そしてオランダの橋の下に、たくさんの水が流れ始めた20世紀の終わり。ついに動物の福利厚生に関する法律が制定され、これが今の「放棄動物なきオランダ」の礎となったのです。