無駄吠え防止の首輪は使うべき?
犬を飼っていると悩みの種の一つに無駄吠えがあります。無駄吠えが止まらない場合、無駄吠え防止の首輪を使う飼い主もいると思います。この記事では、無駄吠え防止首輪が何であるか、そしてどのように機能するかを見ていきます。
無駄吠え防止首輪とは?
無駄吠え防止首輪には犬の喉に何らかの活動を察知すると作動する電子機器が内蔵されています。そして、犬が吠えるのをやめるように不快な刺激を送ります。通常、不快な刺激は電流ですが、他にも高音、振動、そしてスプレーなどがあります。
このような装置は犬が吠えると罰を与えることで吠えることを完全に止めさせるように設計されています。理論的には吠えることと不快感を関連付けて覚えさせることで、無駄吠えを止めさせるというものです。少なくても、それが狙いです。しかし、犬が吠えるには理由があり、またそれが必ずしも自主的に行っている行為ではないことは考慮されていません。吠えることは犬にとってコミュニケーションであり、あらゆる吠え方があります。例えば、感情が原因となって吠える場合、それをコントロールするのは難しいでしょう。
無駄吠え防止首輪の肉体的ダメージ
無駄吠え防止首輪にはいくつか種類がありますが、すべては犬の健康に悪影響を及ぼします。このような首輪は体の中で最もデリケートな部位である首に巻かれます。首には甲状腺といった大切な内分泌腺があります。また、重要な神経も多く存在します。脊髄に直接つながる神経もあり、この神経は犬の脳と体の他の部分を繋いでいます。
電気ショックカラー
無駄吠え防止首輪のほとんどはこのタイプの首輪です。犬の頸部に振動を察知すると、体の主な神経が通る首に電流を流します。製造者は現在の商品に使われている電流は害を及ぼすほど強くないと主張していますが、このタイプの首輪が機能する理由は、たとえそれが微量であったとしても犬に痛みを与えるからです。
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犬の首にかかる圧や痛みは脊髄に直接伝わるため、体の他の部分にも影響を与えます。電気ショックは筋肉を収縮し、けいれん、神経損傷、頻脈などを引き起こします。リンパ系や循環器系に変化をもたらし、甲状腺との接触から犬の代謝にさえ影響を及ぼすのです。
ハイピッチ(高音)ノイズ首輪
ハイピッチノイズ首輪は、耳鳴りと同等の深刻な聴覚障害を引き起こす可能性があります。動物の耳鳴りを診断するのは非常に難しく、耳鳴りは犬の体のバランスに影響し、激しい肉体的苦痛と不快感を与えます。
スプレー首輪
スプレー首輪は犬の鼻の中にエアロゾルを噴射します。犬にとって嗅覚は最も重要な感覚であるため、シトロネラといった刺激の強いものを使ってしまうと嗅覚の喪失、あるいは嗅覚の腺にダメージを与えてしまいます。また、スプレー首輪は痛みや刺すような感覚を引き起こし、嗅覚を通してのコミュニケーションを不能にします。そして、鼻の粘膜を損傷してしまうこともあります。(乾燥または過剰な粘液の分泌)
犬の嗅覚にダメージを与えることは犬にとって致命的です。犬は嗅覚で回りの世界を理解し、他の犬とふれあうのです。犬の心と体の健康に嗅覚は不可欠です。
このような首輪は、研究により犬に常にストレスを与えることが証明されています。ストレスが増えると血中のコルチゾール濃度が上昇し、気分が悪くなる、そわそわする、怒りやすくなる、そして消化器系に問題が起きやすくなるのです。(理由もなく嘔吐や下痢をするなど)また、ストレスは犬をピリピリした精神状態にするため、犬は自己抑制力を失いやすく、問題行動が起きやすくなります。
無駄吠え防止首輪の精神的ダメージ
このような首輪は犬の精神面にも影響があります。常に罰を与え続けることは効果的でないだけでなく、問題行動を悪化させることになります。
どんな種類であっても、無駄吠え防止首輪は犬が吠えようとしたときに不快な刺激を与えます。しかし、首輪にはその感情がどこから出てきたものなのかを察知できるわけでもなく、犬は混乱してしまうのです。
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そして、このような首輪は吠えていない時にも作動してしまうことがあります。吠えるまでに至らなかった声、鼻のすすり、うなり声、あるいはリモコンのエラーのために作動することがありあます。これらのことは犬にとって更なる謎になり、なぜ痛みを感じているのかが犬には理解できないのです。
このようなことのすべては恐怖、不安、そしてストレスにつながります。ストレスを感じている犬はそうでない犬よりも悪い行動を起こすため、このような首輪は問題を解決するどころか増やすだけなのです。あるいは、新しい問題さえ生み出してしまうかもしれません。不安は想定不能の反応を犬に引き起こします。
恐怖は犬の攻撃性の最大の原因であり、犬が襲ったり噛みついたりする一番の理由です。通常、犬は嫌なことからは逃げるだけです。しかし、犬は痛みと不快感がなぜ起きているのかが理解できないため、目の前にあるものに立ち向かい、問題が解決することを願うことしかできないのです。攻撃性、恐怖、不安、問題のある関係。これらはすべてショックカラーによって起きる心理的ダメージです。このダメージは不可逆的、あるいは非常に治療が困難であり、一生の傷となって残ることでしょう。
では、無駄吠え防止首輪はいつ使う?
無駄吠え防止首輪の製造者達は電流量、電流の伝わり方、リモコンの操作範囲などにおいて調整を重ねてきましたが、このような首輪に様々な吠え方を区別することはできません。つまり、このような首輪がきちんと機能することはないのです。
犬が吠えるのには理由がいくつかあります。吠えることで飼い主からご褒美がもらえた犬は吠えることを学習したため吠えます。または、感情が理由で吠えることもあります。犬は感情をコントロールできないため、感情から吠えてしまうことはどうしようもないことです。
そして、吠えることを学習した犬に無駄吠え防止首輪は効果がありません。あなたの犬が吠えていても、その理由が分からなければご褒美をあげるべきなのかの判断ができないからです。あなたの犬はお腹が空いているのかもしれないし、同じ通りに住む犬に怒っているのかもしれないし、はたまたあなたに注目して欲しいだけなのかもしれないのです。そして、感情が理由で吠える場合もこのような首輪は効果がありません。犬は突然ぴたりと吠えるのを止められません。犬が感じている気持ちが変わらない限り、吠えるのを止めさせることはできないからです。このように感情が起因する行動は犬が自発的に行っているわけではありません。人間も同じです。どんな罰を受けていても、苦しい時は泣き続けるものです。悲しみを感じ無くなれば泣きやみます。犬も同じなのです。
犬が吠えてしまうことを止めさせる唯一の方法は、吠える根本的な原因を突き止め、そのような状況で吠える動機を取り除くことです。無駄吠え防止首輪にそのような複雑なことはできないため、本当に問題を解決することはできないのです。そして、愛犬に生涯にわたる大きなダメージを与えるのです。
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。