地域にいる猫の面倒を見てあげたい
どこの街にも野良猫の集団がいます。こういった群れがあることによって害虫の増加やネズミによる伝染病が抑えられています。一方、街で暮らす猫たちは必要な食べ物やケアを十分に得られているわけではありません。そんな野良猫たちの面倒を見てあげたい人には、いくつかアドバイスがあります。
野良猫の世話をする重要性
広く一般に信じられているのとは裏腹に、今いる猫の集団をただ追い払ったり移動させたりするだけでは、野良猫は街からいなくなりません。
唯一効果のある方法は、街やその周辺を含めた地域全体にいる野良猫の総数そのものを減らすことだという結果が研究で明らかになっています。もしある範囲から猫が急にいなくなったとしても、その代わりに近隣の動物がやってきて住み着くだけなのです。
一定数の野良猫がいることでネズミやゴキブリなどの害虫を駆除してくれるという利点はあるのですが、猫にとってそのような生活は決して楽ではありません。しかし人間がうまく猫たちの面倒をみてやることで、健康面を補い個体数の増え過ぎを抑えることができるようになります。
エサをやる
猫たちが確実に食べられるようにしてやることは、地域の猫に関わるうえでの第一歩です。野良猫に与えるエサは猫の体に適したもので、かつゴミになって道を汚さないものでなければなりません。
猫は肉食動物ですから、加工されていないエサを与えるのなら生の肉類でなければいけません。ですから、路上でエサを与えることを考えれば乾燥タイプのキャットフードが一番衛生的でしょう。
家庭の残り物を出しておくのは百害あって一利なしです。穀物や油を使って調理したもの、野菜などは猫の消化に悪いですし、人間にとっても虫や悪臭の発生する元となってしまいます。野良猫にやるのなら道を汚さないキャットフードだけにしておきましょう。
地域の環境を衛生的に保つために、エサをやった容器は定期的に回収しましょう。使い捨ての容器を用いるのであれば中身がなくなったのを確認しだい回収して捨てましょう。猫は住処にゴミがあるのを好みませんし、道にゴミを放置するのはもちろんいけません。
また、いつもきれいな水を飲めるようにしてやらなければいけません。気温の高い地域や夏場には特に重要です。放置された水に蚊などの虫が湧いて伝染病の原因とならないよう、水は毎日取り替えましょう。
エサや水の置き場所は、あまり人目につかず猫にはわかりやすい場所を選びましょう。人通りの多い道に容器を置いてしまうと、異物が混入してしまったり誰かが蹴飛ばすなどして中身が散乱する可能性が高まります。エサや水は猫だけが見つけやすいような場所に置きましょう。
健康について
エサをやる以外にも大切なことはたくさんあります。近所にいる猫の面倒を見るのなら、健康状態にも注意を払わなければなりません。そのときどきで専門家の助けが必要になりますから、獣医と連絡を取りましょう。
野良猫がかかる病気は多岐に渡りますが、風邪や皮膚病、ケンカによる傷、目の感染症などはごく当たり前に見られます。世話をしている猫にこれらの問題があった場合、手の及ぶ範囲で薬を与えるなどの治療をしてやる必要があります。猫の暮らしは健康状態によって大きく左右されます。
去勢手術
野良猫の総数を減らすのに唯一有効な手立ては、去勢して繁殖をできなくさせることです。野良猫を捕獲して去勢手術を施し、元の場所に戻すTNR (trap, neuter, return ) という活動が保護団体などによって行われています。
お住まいの地域でこのような活動がなかったとしても、同じことを個人で行うのには何の障害もありません。地域にいる猫の世話に強い関心があるなら、ぜひ去勢に協力してください。手術費用の寄付を募ったり周囲の人と助け合うなどして、できる範囲で無理なく行えます。猫たちが去勢されていなければ、新しく野良猫が増えることになってしまいます。
地域にいる猫の面倒を見るうえでは、頭数の確認、去勢済みの個体のチェック、また集団に新しく入ってくる猫(おそらく捨て猫)の把握などが必要不可欠です。
里親探し
大人の猫を引き取って飼うことはたいへん困難です。大人になった野良猫の多くは人に飼われることに馴染めません。なるべく人懐こい大人の猫を選ぶか、もしくは子猫が自力でエサを食べられるようになったら連れて帰るようにしてみましょう。
また、動物保護施設に連絡して手伝ってもらうことも可能です。里親希望者を探すと同時に、応募してきた人が引き取り手にふさわしいかどうかの確認も大切です。専門の施設であれば経験も豊富ですから、そういった作業をずっと簡単にしてくれるでしょう。里親を募集するための広告についても、個人で行うより効果的です。
地域にいる猫の世話は簡単ではありませんが、とてもやりがいのある仕事です。あなたが献身的に取り組んでいる姿が周囲の人々にとっての生きた実例になります。皆さんの助け合いがあってはじめて地域の野良猫たちの一生をより良いものにできるのです。
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。