猫のウイルス感染症について
ウイルス感染症は、品種に関わらず、飼い猫も野良猫もかかる可能性があります。猫はその堂々とした振る舞いと独立心の高さが特徴ですが、その自主性とは裏腹にケアは必要とします。他の動物と同様、猫も病気にかかり、治療が必要になることもあるので気をつけましょう。
最も一般的な猫のウイルス感染症
1.猫白血病病
このウイルス性疾患は、複数の猫が一緒に暮らす場合、通常子猫が感染します。その強い感染力で多くの子猫が命を落とすため、最も危険な猫の病気の一つと考えられています。
猫白血病は、体液と直接接触で感染する腫瘍ウイルスの一種です。病原体の複製が癌を引き起こします。感染経路は主に病気にかかった猫との直接接触です。同様に、白血病は感染した猫の尿、糞、くしゃみ、唾液を介して感染する可能性があります。
このウイルスは感染してから発症まで3年間かかることもあります。そのため、潜伏期間は数週間から30ヶ月以上と非常に長期に渡るのも特徴です。
猫白血病の主な症状は次の通りです。
- 食欲不振
- 倦怠感
- リンパ節の腫れ
- 栄養失調、脱水
- 重度の貧血
- 口や鼻の小さな潰瘍
大切な愛猫を感染から防ぐには、必要なワクチンを適切なタイミングで接種することです。また、感染した猫と接触しないようにすることです。
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2.猫ウイルス性鼻気管炎
この疾患は、ヘルペスウィルス科に属する猫ヘルペスウィルスよる感染症です。呼吸器系に影響を及ぼす猫ウイルス感染症の約5割は、猫ウイルス性鼻気管炎に起因します。
最も多い感染経路は、唾液、鼻からの分泌物、感染した猫のその他の体液との接触です。1歳未満の子猫は非常に感染しやすいので、生後数週間でワクチン接種を行うことが重要です。
主な症状は次の通りです。
- 発熱
- 食欲不振
- 鼻からの過剰分泌
- くしゃみ
- 結膜炎
- 涙の過剰分泌
- 角膜の潰瘍性創傷
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3.猫汎白血球減少症
猫汎白血球減少症(Feline Panleukopenia:FP)は、犬にも同様に影響を及ぼすウイルスに関連するパルボウイルスによって引き起こされます。死亡率の非常に高い病気で、ものの数日で猫の体調を悪化させてしまうこともあります。
猫汎白血球減少症は、通常感染した猫の体液に直接接触することで感染します。1歳未満の子猫が感染しやすいので、早期のワクチン接種で予防し愛猫を守りましょう。
次のような症状が現れます。
- 40℃以上の発熱
- 低体温
- 嘔吐
- 下痢
- 栄養失調と脱水
- 元気消失と過度の眠気
- 拒食症
- 血中の白血球数の著しい低下
治療効果を確実にするためにも早期診断が重要です。このため、上記の症状が見られた場合は直ぐに動物病院に連れて行きましょう。
4.猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルス感染症(Feline calicivirus: FCV)はピコルナウイルスが主な原因です。
何種類かのピコルナウイルスは、猫の気道感染症の約4割の主な原因です。猫カリシウイルス感染症は猫にとって、最も致命的な病気の一つです。症状は次のようなものがあります。
- 発熱
- 過度の唾液分泌
- くしゃみ
- 舌と口の中の水疱と潰瘍
- 食欲不振
- 倦怠感
- 栄養失調
感染経路は感染した猫の糞、唾液、鼻汁との直接接触です。この場合も、ワクチン接種が一番の予防法です。
5.猫免疫不全ウイルス感染症
ネコエイズとしても知られるこの病気は、レンチウイルスによって引き起こされます。
感染経路は、感染した猫の血液との触接接触です。喧嘩や性行為中に感染することが多いため、避妊手術を受けていない性成熟を迎えた猫が多く感染します。
この疾患は免疫系に大きく影響し、多くの致命的な2次的疾患を誘発します。対策は子猫の頃の避妊手術と感染した猫との接触を避けることです。
猫のウイルス感染症の多くは目立った症状もなく進行します。そのため、愛猫の行動の変化には注意し、予防対策を強化しましょう。
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。