犬の髄膜炎:原因と症状、そして治療について
犬の髄膜炎はごく一般的で、何の前触れもなく発症し得る病気です。ですが、適切に治療すれば簡単に治るので、心配は要りません。この記事ではその原因、症状、治療法についてご紹介します。
犬の髄膜炎とは?
人間と同じように、犬の神経組織は髄膜と呼ばれる膜で覆われています。何らかの理由でこの髄膜が腫れると、髄膜炎を引き起こすことがあります。また場合によっては神経系にさらに深刻な影響を与える、脳や脊髄の炎症につながるおそれもあります。
炎症が起こると、脳と脊髄を保護し栄養を供給している脳脊髄液の流れを妨げることになります。この液体が脳に溜まってしまうと発作や麻痺の原因となります。
では、どのようにして犬が髄膜炎を発症するのでしょうか。
犬における髄膜炎の原因
髄膜炎はたいてい別の何らかの疾患が引き金となって引き起こされます。たとえば寄生虫、ウイルス感染、原虫症、毒キノコなどです。 他のさまざまな病気による健康上の問題が、髄膜炎の第一段階となり得ます。
体内で発生した毒素も原因となります。たとえば感染症をもった動物による噛み傷や、鼻や耳など体の一部に疾患がある場合はそこで発生した細菌によるものなどです。
さらに髄膜炎には無菌性のものもあることが研究で示されています。そのようなケースでは原因として認識されていない何らかの他の微生物が理由となっている可能性があります。これらは普通5~24ヶ月の若い犬に見られます。どのような種類であれ、命に関わることもある髄膜炎をあなどってはいけません。
犬の髄膜炎における症状
髄膜炎の症状は犬の種類によらず同じです。多くの症状があり、いくつかが同時に起こることもあります。以下はもっともよく知られている症状の例です。
- 高熱
- 筋肉のこわばり
- 痛みを伴う背中の筋肉の痙攣
- 接触への過敏反応(知覚過敏)
- 食欲の喪失
- 無気力
- 吐き気
- 嘔吐
- 散歩中に動きが悪くなる
- 足を曲げられない
- 頭を垂れる
- 憂鬱
- 視覚の問題、盲目
- 進行性の麻痺
- 発作
- 方向感覚の混乱
- 動揺
- 運動失調
- 攻撃性の増加
愛犬にこのような症状が見られるときは一刻も早く動物病院を受診し必要な投薬を受けましょう。犬にとって髄膜炎は命にも関わることがあるのを忘れないでください。
犬の髄膜炎に対する治療
髄膜炎には適切な治療方法があるので、心配しすぎる必要はないでしょう。それよりも難しいのは診断の方なので、日頃から愛犬の面倒をよく見て急な変化を見逃さないことが大切です。
もっとも多いのはウイルス性のものです。これらは症状が比較的おとなしくステロイドで治療可能です。
細菌性の髄膜炎はまったくの別物です。こちらは治療費も高くつき、ペットと飼い主の両方を苦しめます。発作を伴うケースでは抗てんかん薬を使用することができます。
投薬と平行して点滴を用いるのが症状に対してもっとも効果的でしょう。常に清潔な寝床と水を用意してあげましょう。症状が重くなったときは苦痛をやわらげるための薬を処方してもらうこともできます。
愛犬の髄膜炎が重篤になったり長引いた場合は病院で点滴によって水分を確保しつつ他の治療法も試すべきでしょう。
このように犬の健康には飼い主の果たす役割が何よりも重要です。愛犬の体調や行動の変化を見逃さないようにしましょう。