犬がわずらう「臍ヘルヒア」の原因とその治療法
愛犬のお腹にデキモノがある!とビックリされる飼い主さんも多いようですが、それは恐らく「臍(さい)ヘルニア」でしょう。今日この記事では、そんな臍ヘルニアの症状や原因、治療法などをご紹介しますので、是非ご覧ください。
そもそもヘルニアって?
ヘルニアとは、内臓(もしくはその一部)が本来収まっておくべき腔から出てしまうのが原因で出来ます。つまり、内臓が筋肉や細胞の脆弱な部分を圧迫してしまうのです。
ツルッとしたデキモノのような見た目をしており、基本的に触ったら柔らかいのが特徴です。もし指で押した時、ヘルニアを中に押し込むことが出来るなら、それは還納性ヘルニアと呼ばれ、逆に押し込めないものは嵌頓(かんとん)ヘルニアと呼ばれます。
一方、もしヘルニアに血が流れなくなると、酸素が行き渡らなくなり、今度は絞扼性(こうやくせい)ヘルニアと呼ばれる状態になります。こうなってしまうと、治すのが極めて複雑になり、手術も視野に入れねばなりません。
ヘルニアは本来体の何処にでも出来るもので、その名前も出来た場所によって少しずつ変わってきます。例えば、臍(さい)ヘルニアはおへそに出来るもので、体の大きさによってもそのサイズは触ってきます。もし愛犬がヘルニアを持っているのなら、是非いつも以上に気を配ってください。もしかしたら、特殊な治療が必要になるかもしれません。
犬におけるヘルニアの原因
ヘルニアは生まれつきの奇形が原因であることが一般的で、こういう場合は先天性ヘルニアと呼ばれます。その一方で、怪我が原因でヘルニアが発症する場合もあり、この場合は後天性ヘルニアと呼ばれます。
臍ヘルニアが犬に発症する仕組み
ですが、犬に出来る臍ヘルニアは、ほぼ確実に先天性と言えるでしょう。そもそも子犬は、母犬のお腹の中でへその緒を通して栄養を補給してきましたが、出産後はもうへその緒は必要無いので、母犬が噛み切るのです。
ただし完璧に嚙み切れるケースは少なく、ほとんどの場合、子犬に少しへその緒が残ってしまいます。普通ならこれは一週間程度で枯れて、自然に落ちるのですが、問題はその落ちた後に子犬のへそに残る「穴」です。
通常、これも一週間程度で閉じるのですが、もし完璧に閉じられなかった時、臍ヘルニアが発症する可能性が生まれます。内臓や細胞、脂肪…そういった子犬のお腹の中にある物の押し出す力が、この「へその穴」に向かい、これがデキモノのような形として浮き上がるのです。
ちなみに、これは稀なケースですが、こういった「穴」は怪我が原因で出来ることもあり得ます。ワンちゃんが強く噛まれたり、何かにぶつかったりした時、その衝撃でお腹の壁が破れてヘルニアができ、そこから体液が分泌されることもあるのです。
愛犬のお腹にデキモノを見つけたらどうすれば?
臍ヘルニアにも色々なサイズがあり、これは犬ごとに違います。なので、もしデキモノを発見したら、自己診断は難しいですので動物病院に連れて行きましょう。また獣医師の許可なしで、自宅療法などに頼るのも避けたほうが良いでしょう。
犬の臍ヘルニアを治療する方法
ワンちゃんの年齢や健康状態、ヘルニアの状態を見極めて、獣医師さんが適切な治療プランを提案してくれます。が、もしこれが子犬で、しかもヘルニアも小さいものなら、生後6ヶ月まで待つというのが一般的だと思います。体が持つ自然の再生能力でなんとかなるかもしれないからです。
一方、もし愛犬が生後6ヶ月以上で臍ヘルニアがまだあるなら、それに応じた治療が必要になります。とはいえ大体の場合、ヘルニアは危険でもなければ、何か健康上の二次被害が出るようなこともありません。そういう類のヘルニアなら、定期的に病院に通ったり、美容整形レベルの手術で治ります。
ただ、もしヘルニアが大きくて、しかも絞扼性の場合なら、健康被害に繋がりかねませんので恐らく手術は避けられないでしょう。絞扼性ヘルニアが内臓にまで影響を与え始めたら、さらに症状は複雑かつ深刻になってしまいます。
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- Earle, D, B., & McLellan, J, A. (2013). Repair of Umbilical and Epigastric Hernias. Surgical Clinics of North America, 93(5), 1057-1089.
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