動物のために作曲された音楽:あなたのペットに聞かせてあげよう
信じ難いかもしれませんが、どうやら動物にも音楽の好き嫌いがある模様です。だからこそ、動物に好かれようと必死に頑張っている作曲家さんもいらっしゃいます。音楽は動物の好奇心をくすぐったり、幸福度を高めてくれます。もはや、動物が音楽を聞くというのはファンタジーではないのです。
心理学者のチャールズ・スノードンをはじめ、研究者の中には「動物は種類によって好きな音楽ジャンルも違う」と考える人もいます。つまり「愛猫にジャズを弾いてあげても彼らは楽しまないよ、だってDNA的に楽しめないもん」という理屈が通る訳です。とはいえクラシック音楽の場合はペット全般的にストレス低下の効果があると証明されています。
人間たちが動物の為に音楽を作り始めたのはとても良い事です。もし動物の種類によって音楽性が異なるなら、なおさら作曲者は多い方が良いでしょう。すでにあるクラシック音楽を聞かせるだけより、音楽性にあった音楽を聞く方が効果も高いでしょうしね。
猫の為の音楽
例えば、デイビット・タイエさんは「猫への音楽(Music For Cats)」というプロジェクトを進めており、これは名前の通り、猫が楽しめる曲を作ろうという企画です。詳しく言うと、彼らは猫が色々なトーンで鳴き声をあげるのを利用して、そのトーンの違いを音楽にしてしまおうと言うものです。
声色のデータを元にして、タイエさんは猫が「シャー」と言っている音や、牛乳を飲んでいる音などを組み合わせ、その後作曲の手法を使って曲に仕上げていきます。
さて、クラシック音楽は動物に効果的、なんてことが割と古くから言われてきましたが、これは研究者にとって好奇心の的です。まず彼らは、クラシック音楽が与える影響が、動物の種類によってどう変わるかを研究し始めました。
当然、猫も研究対象です。彼らは猫専用に作られた音楽を聞かせて反応を見て、後日今度はクラシック音楽を聞かせて反応を見たのです。
すると、猫ちゃんはモーツァルトよりもネコ専用に作られた音楽の方が、より好意的な反応を示したのです。ネコ専用音楽の際には、音楽がなり始めるとネコたちがスピーカーに体を擦り付けたり、リラックした様子ニャーと鳴いたり、音楽と「交流」していたと言えます。
猿の為の音楽
タイエさんが猫に行なったようなプロジェクトは、他の動物でも行われています。例えばワタボウシタマリンというキヌザル専用に音楽を作っている人もいるのです。
この方の実験によって、猿は人間用の音楽には興味を示さないのに対して、動物用に作られた音楽では反応をしめすことが分かりました。猿の場合は、猿の鳴き声を使った高いピッチの音楽が作られ、これは人間が鳴らすことができるどんな音よりも高いボーカル音域の曲です。
当然、興奮状態の猿の声を使ったら、その音楽によって猿は不安になり、逆にリラックスした声を用いることで、猿たちの気持ちを落ち着ける効果があったのです。後者の際には、ご飯の早食いも軽減されました。
動物のための音楽?人間のための音楽?
動物用の音楽と人間用の音楽のちょうど間を目指して、研究者のローレル・ブレイトマンさんは「動物のための音楽」を推進しています。
ローレルさんは(保護下にある)動物に、人間が作った音楽とふれあいを持たせようとしています。そこでローレルさんは、色々な種類の動物を選んでは、色々な音楽を聞かせ続けてきたのです。
その効果にはとても興味深いものがあります。実際にローレルさんのホームページで、いくつかの映像を見ることができ、オオカミたちが人間の音楽に反応している様子などは圧巻です。なんと彼らが音楽に合わせて遠吠えを始めたのです。もしかしたら、歴史の長いオオカミの遠吠えに通ずる何かが、その音楽にあったのかもしれませんね。
他にもコカトゥーなどの動物は、独特なリズム感を持っていることが知られており、自然界でもパーカッションを演奏しているような仕草をします。でも動物が持つ音楽性にはまだまだ謎が多く、解明されるべき事柄だらけです。
動物を幸せにしようとして、音楽をかけるのはとても良いことですが、一つ気をつけてください。音楽の好みがあわないと、リラックスどころか怖がらせてしまうかもしれませんからね。
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