水棲亀:ペットとして飼うのが難しいのはなぜ?
水棲亀(すいさいがめ)を飼うということは簡単なことではありません。世話をすることだけではなく、これらの亀は住む地域によっては侵入生物種となってきたからです。
侵入生物(外来)種
世界の他の地域から持ち込まれた侵入生物種は、その地に元々生きる生物や生態系にダメージを与えます。これは世界的なペット市場に様々な動物種が持ち込まれたために広がった現象です。
20世紀、エキゾチックな動物をペットとして飼いたいと考える人のため、様々な動物種が世界中を移動し、侵入生物種となりました。例えばスペインを例に挙げると、クレーマーオウム、タヌキ、アメリカ原産の水棲亀などが侵入生物種です。
ペットとしての水棲亀
水棲亀は人気のあるペットの一つです。子ガメの時はとても小さく、比較的安価だからです。また、それほど世話をしなくてもいい動物だと考える人も多いでしょう。
アカミミガメなどのカメはかなりの長寿です。30年近く生きますし、40cm程にまで成長するでしょう。そのため、生涯ずっと小さな飼育箱の中にとじ込めておくわけにはいきません。
水棲亀はまた、年をとるとサルモネラ菌を保菌することがあります。そのため、幼い子供などは特に、水棲亀を触ることでサルモネラ菌感染のリスクが高まる場合があります。サルモネラ菌感染は、アメリカを含め各国で報告されています。
こういったリスクだけでなく、生活環境や栄養の管理などを考えると、何度となく獣医師の診察を受けさせなくてはいけなくなるでしょう。特に、知識の少ない飼い主の場合は獣医師の診察やアドバイスが必要です。こういったことが原因で、アカミミガメを飼い続けるのが嫌になり、捨ててしまう無責任な飼い主はたくさんいるのです。
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飼えなくなった水棲亀の行く先は
無責任な飼い主がペットを捨てるというのは何も水棲亀に限ったことではありません。そして捨てられたペットたちの多くは、自然の世界を生き抜くことができないのです。ですが、スペインで野生化し、生態系を脅かしているアメリカ原産の水棲亀はかなりの率で自然界に順応してしまっているようです。
アメリカ原産の水棲亀はヨーロッパのものと比べてずっと攻撃的です。だから、アカミミガメなどの外来種がヨーロッパ原産の水棲亀の生活に問題を引き起こしているのです。ヨーロッパでは、こういった侵入生物種の亀が生態系の害となっているのです。
動物保護団体の一部により、侵入生物種の亀が捕獲され、自然の状態をコントロールしようとする動きが始まりました。新法律によると、これらの亀は購入された場所で保護されるケースもあります。現在、侵入生物種の亀は野生で捕獲されると、特別センターに送られるか、または残念ながら殺されています。
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従って、水棲亀をペットとして飼うということは非常に重い責任を負う、ということなのです。また、この外来種に関して言えば、無責任な飼い主の行動が自然界に問題を引き起こしているのです。
水棲亀はペットになる?
水棲亀について色々と述べましたが、それでも水棲亀は素敵なペットになりうる動物です。合法的に飼える水棲亀の種類はたくさんあります。どの種類がいいのかは、自分の状況をよく踏まえて熟考しましょう。
亀は非常に長生きをします。世話には気をつけましょう。また、亀を飼育する場所ですが、これはあなたが思う以上に広いスペースを必要とするでしょう。
また、亀に特別な食生活を送らせること、獣医師への診察料も思う以上にかかってくることを忘れてはいけません。これらを考慮した上で、それでも自分は責任が取れると思うなら、水棲亀を飼ってみるのも良いかもしれませんね。
このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。