どうしてワンちゃんは「舌舐めずり」をするの?
犬と人間は旧石器時代より共に生きてきました。そしてその長い歴史の中で、ある程度コミュニケーション方法も確立されてきました。例えば、犬が尻尾を振っていたり、あくびしたりしていると、人間の私たちでもなんとなく彼らの気持ちが分かりますよね。しかし、犬について私たちが知らないことはまだまだあります。例えば、どうしてワンちゃんは舌舐めずりするのか、です。
最近、イギリスとブラジル人科学者たちが共同で行なった研究によって、この知られざるコミュニケーション方法について明らかになりました。その研究結果によると、彼らが舌舐めずりするのは、実はとある刺激に対する反応だったのです。
食べ物と不確実性
犬が舌舐めずりする理由は?と聞かれたら、ほとんどの人がヨダレを拭いているだけなんじゃ?といった結論に至るでしょう。もしかしたら、お腹が空いててご馳走を欲している、と答える人もいるかもしれませんね。一方、過去にイヌ科の行動を研究している科学者たちは、これを「不確実性」に対する反応を表すジェスチャーだと結論づけていました。
しかし、最近「Behavioral Processes(行動のプロセス)」という有名な科学誌が出版した研究では、この舌舐めずりはとある視覚情報と連結していることが分かったのです。
Behavioral Processが出版した研究について
本研究では異なる視覚および聴覚刺激に対する犬の反応についての分析を行なった
研究の結果、犬が舌舐めずりをするのは、飼い主がイライラしている姿を見た時だということを発見しました。研究者の1人であるナタリア・アルバカーキー氏は「舌舐めずりは視覚情報によってしか生まれない行動である」と述べています。つまり、その視覚情報というのが人間の表情なのです。現に、イライラした声を聞かせてみても舌舐めずりとの相関性は確認されなかったということです。
認知と家庭化の関係
この結論は犬の行動と、犬が持つ「人間の感情を認知する力」を理解する上で非常に大切であり、科学界に新たな知見を与えるものと言えるでしょう。この発見をした科学者たちによると、このような形で犬が人間の感情の認知しているのは、おそらく家庭化の長い歴史の中で行われてきた選別淘汰の結果だろうとのことです。