ペット以外のすべてを置いて祖国を去ったシリアの難民たち

本当にあったこの苦しくも愛が詰まった話に心が温まることでしょう。
ペット以外のすべてを置いて祖国を去ったシリアの難民たち

最後の更新: 16 5月, 2018

もしあなたが大惨事の真っただ中にいて突然その場を去らなければならないとしたら、あなたはペットを連れて行くことを忘れない自信がありますか? もちろん私たちはみな「忘れない」と答えるでしょう。でも、実際にそのような状況に置かれてみて経験してみないことには自分がどのような反応を示すのかは分からないものです。それでも、祖国の悲惨な状況から逃げ出す必要があった数百人ものシリアの難民たちはペットに対する愛は何ものにも代え難いものだと証明してくれました。

人々は自らの命が危険にさらされていると感じた時、自らを守ることしか考えられなくなるものです。でも、この難民たちは勇気、忠誠心、そして愛というレッスンを私たちに教えてくれました。

シリア情勢

ペット以外のすべてを置いて国を去ったシリアの難民たち

この国で起こっている問題については誰もが知っていますが、それよりも深く掘り下げた話をしたいと思います。シリアは終わりなき戦争から抜け出せずにいて、女性に限らず、男性、子供、動物などの多くの命を奪っています。

誰もが自分自身の命を守ることに必死で、自分以外の人や動物を助ける時間は残されていないのです。他の者を助けることで自らの命を失ってしまう可能性があるからです。

多くの人が1日で家族の何名かを失ってしまい、深い悲しみに包まれ、何をする気にもならないのです。それでも、彼らは生きるために逃げ続けなければなりません。

この不運な状況を受けて、ヨーロッパ各国ではシリアを去る難民たちの受け入れを行っています。難民たちは多くを持って行くことはできないのですが、服などを荷物に含める代わりにペットを連れて行くことにしました。無条件の愛には終わりがありません・・・

シリア人と彼らのペットの物語

多くのシリア人は自らの足で歩いて祖国を去る必要がありました。そして、彼らはペットが人間と同じ距離を歩くことができないことを承知の上、ペットも一緒に連れて行くことにしました。ソーシャルネットワークサイト上でシェアされている多くの画像・動画からも見られるようにベビーカーやショルダーバッグの中にペットを入れて祖国を後にしたのです。

災難に見舞われたシリアを逃がれ命を長らえたとてつもなく多くのペットにまつわる本当の話があります。

  • Zeytun:この猫の名前は「オリーブ」ですが、猫にしては奇妙な名前ですね。飼い主がなぜこの猫にオリーブと名付けたのかは分かりません。でも、飼い主がシリアからギリシャのレスボス島まで、この猫を小舟に一緒に乗せて逃げてきたと言うことを私たちは知っています。
  • Johnny:シリア人の若い夫婦のペットがJohnnyです。Johnnyは夫婦と共にドイツから歩いて旅をしました。とても困難な旅だったことでしょう!Johnnyをベビーカーに乗せて一緒に旅を続けてくれた飼い主のおかげで彼はこの旅を無事終えることができました。彼の飼い主は、彼を置いていくことなど頭によぎったことはないと言います。
  • Teddy:Teddyを置いていきたくない独身男性が、Teddyを連れて船に乗りギリシャに渡るため、ありとあらゆるリスクを背負いました。飼い主もTeddyも無事ギリシャに辿り着きました。

シリア、そして他国での状況

ペット以外のすべてを置いて国を去ったシリアの難民たち

これら以外でも、避難してきた多くのペットがハンガリーにいます。でも、これらのペットは、これまでにきちんとワクチンをしているか、きちんとしつけが行われているかなど最小限の安全規則に従う必要があります。

人間同様シリアでは動物たちも危険にさらされており、食料も水もなく、見捨てられているのです。面倒を見てくれる人がいないシリアにこれらのペットを置き去りにするという行為は動物遺棄、最も残酷な形の虐待にあたります。

そして、シリア人は私たちが真似すべき大変素晴らしい例を残してくれました。自分たちの命のために戦い続けながらペットを持つことがいかに大変かということを分かっていながらも、彼らはペットを連れて行くという責任を担うことにしました。虐待や捨て去りは私たち全員が取り組んでいくべき問題です。そして、ペットが私たちに与えてくれる愛のお返しに彼らを愛することは、彼らの権利であり私たちの使命でもあるのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。