飼い主の命を守った盲導犬

· 2018年7月4日

ワールドトレードセンターでアメリカ同時多発テロが発生してから、9月11日は事件の犠牲者と生存者を讃えるための記念日「パトリオット・デイ」として定められています。今回はそんな事件に遭遇してしまった、ある飼い主とその盲導犬のお話をしようと思います。

恐怖の記憶

9/11から17年経った今でも、コロンビア出身のエンジニア、オマル・エデュアルド・リヴェラさんとその盲導犬ソルティーの物語は多くの人を感動に包んでいます。

盲目であるリヴェラさんはその日、ニューヨーク及びニュージャージー州のインフォメーション・サービスとテクノロジー・ポート・オーソリティを担当する課のある、ワールドトレードセンタービルの71階で働いていました。もちろんソルティーは常にそばにいます。

突如轟音が鳴り響き建物が揺れ始め、盲導犬も心配していることも感じた彼は、ソルティーのリードを掴んで、すぐさま近くの非常口に向かいました。

しかしこの時点で彼は、自分が盲目であること、そして他にも多くの人が出口に向かって駆け込むであろうことから、このシチュエーションから生きて抜け出すことは相当難しいだろうと考えていたそうです。

9/11、ワールドトレードセンターから飼い主を救い出したソルティー。17年経った今でも当然、オマル氏は彼の愛する盲導犬のことを忘れることなどできないのである。

絶対に飼い主を見捨てなかった犬

リヴェラさんは意を決し、ソルティーだけでも助けてやろうと、リードを手放し自分を置いて行くように命令したのでした。その命令に従って先に行ったソルティーでしたが、その数分後、リヴェラさんを見捨てまいと言わんばかりに、彼のもとに帰ってきたのです。

そして、航空機がビルに突っ込むという混沌の最中、なんと70階分もの階段を1時間以上の時間をかけて下り、ソルティーは飼い主をビルから脱出させることに成功し、さらには彼を安全な場所まで連れて行ったのでした。その後まもなくして、ビルは崩れたと言います。

補助犬はいつも飼い主のそばに

ソルティー2

「私がソルティーを愛しているように、ソルティーも私のことを同じくらい愛してくれているのだと、そのとき気付かされましたね。」と、当時44歳のリヴェラさんは思い返します。ソルティーの優れた忠誠心があったからこそ、彼はまた家族と共に暮らせているのです。ソルティーがいてくれたお陰で、事件の数年後に産まれた孫と一緒に遊ぶことができているのです。

ソルティーは、長年に渡ってリヴェラさんをガイドし続けてきて、2008年にその生涯を全うしましたが、その英雄的な行ないは多くの人から認められており、一躍有名犬であったのです。

ニューヨーク州ヨークタウンハイツにある「Guiding Eyes for the Blind (盲目の人々に盲導犬を)」という団体によって1998年に訓練された盲導犬である彼は、イギリスの動物保護団体PDSAによって授与される、動物のためのヴィクトリア十字勲章とも呼ばれるディッキンメダルを受賞しています。

犬 – 人間が生きるために欠かせないパートナー

忘れてはいけないのは、崩れたビルの下から生存者を探し救助したのも救助犬という犬たちだということです。

ただこのお話に関しては、盲導犬の愛、そして忠誠心が、1人の盲目の人間を悲劇から救い出したのだと言えるでしょう。

ところで、9/11の事件の際、建物にはソルティー以外に、ロゼルという盲導犬がもう1匹いたのです。同じビルの78階から、飼い主であり盲目のマイケル・ヒングトンさんを、そしてその他30人ほどの人たちをテロリストの襲撃から救ったと言います。

因みにソルティーはゴールデン・レトリーバー、ロゼルはラブラドールレトリーバーです。

画像出典元: www.abc.es